とあるPWの軌跡(6)
2017年8月19日 MtG(その他)とあるプレインズウォーカーの話を続けるとしよう。
第5話 http://endlesslord.diarynote.jp/201707081029369730/
就職してから約一年、僕は自分のデッキを前にして頭を抱えていた。
「どうすれば本格的なレガシーに参入できるんだろう」
それが悩みの発端であった。
デッキを携えて関西に移ったものの、カジュアルレガシーをできる友人は無し。
移住先の近くにTCGショップはあったものの、MtGのコミュニティは十全とは言えず、対戦できる場は相変わらず友人とのボイスチャットしかなかった。
(ちなみにその地元ショップはのちに地域最大級のMtGコミュニティを形成することになる。店員さんの努力に感謝。)
知らない他者と対戦するには、各フォーマットでそれなりに戦えるデッキであるべき。
当時の僕はそう考えていた。
そうなると、手元にあるデッキ・青緑マッドネスでは、レガシー参入においてはどうしても実力不足な点が否めなかった。
コンセプトは強いものの、デッキの始動は《野生の雑種犬》が場に出た2ターン目以降。カードパワーも強大とは言えなかった。
《意志の力》等で補強しようにも、かつてレガシーを席巻していた時代に使われていた《適者生存》はすでに禁止。改良にも限界があった。
「より強い共鳴者や、墓地利用戦略の幅を広げる」という観点の下、《ロッテスのトロール》や《復讐蔦》を組み込んだりしたものの、共鳴者頼りや初動の遅さという弱点はどうしても克服できなかった。
次第に、既に成立しているアーキタイプを模倣して「戦えるレガシーデッキ」を作成することを模索し始めた。
Wiki等を参考に様々な情報を集め、紙の上でデッキを試作し続けた。
ただ、どのデッキにも高額カード(《意志の力》、《タルモゴイフ》、《不毛の大地》、各種デュアルランド等々)が入っており、その入手難度から実際にデッキを組むことは困難に思えた。
「あのカードがあれば作れるかもしれないのに…」という無意味な言葉を口にしながら、悶々とした日々を送り続けた。
そんな時期のある平日の夜。友人Bがチャットであるリンクを送ってきた。
「どうよtolda、突っ込んでみないか?」
そんな一言とともに。
リンク先で表示されたのは、《意志の力》や《タルモゴイフ》といった、レガシーパーツの山が映った画像。
某オークションで出品された、カナディアンスレッショルドのデッキ一式であった。
値段は堂々の6桁。格安の中古車を買えるくらいの数字だった。
(それでも、今と比べれば半額以下)
僕は悩んだ。
確かに自分の原点である青緑が含まれていて、デッキコンセプトも自分の好み。
構想の中でも一番ベースとして上ってきたデッキだった。
それでも、6桁のお金をポンッと出すのは、社会人の僕でも厳しかった。
結局1日悩んだが、僕は覚悟を決めて入札することにした。
落札するまでの約1日は、自分の人生の中でも5本の指に入るほど長く感じる時間だった。
暇があればスマホで他人の入札状況を確認し、自分が落札したい、でも他人が落札したら逆に諦めがつく、という複雑な心境で過ごした。
最終的に自分が落札し、ATMで送金する段階になっても、まだ悩んでいる自分がいたことを記憶している。
そして僕は手に入れた。
人生初のレガシーデッキである、カナディアンスレッショルドを。
実際に自分で一人回しをするときでも、緊張で手が震えた。
Wiki等で何回調べても、それぞれのカードの使い方は理解しきれなかった。
それでも僕には、何となく予感があった。
このデッキが、これからの僕のMtG生活を変えるであろうことを。
(続く)
第7話 http://endlesslord.diarynote.jp/201708271543264414/
第5話 http://endlesslord.diarynote.jp/201707081029369730/
就職してから約一年、僕は自分のデッキを前にして頭を抱えていた。
「どうすれば本格的なレガシーに参入できるんだろう」
それが悩みの発端であった。
デッキを携えて関西に移ったものの、カジュアルレガシーをできる友人は無し。
移住先の近くにTCGショップはあったものの、MtGのコミュニティは十全とは言えず、対戦できる場は相変わらず友人とのボイスチャットしかなかった。
(ちなみにその地元ショップはのちに地域最大級のMtGコミュニティを形成することになる。店員さんの努力に感謝。)
知らない他者と対戦するには、各フォーマットでそれなりに戦えるデッキであるべき。
当時の僕はそう考えていた。
そうなると、手元にあるデッキ・青緑マッドネスでは、レガシー参入においてはどうしても実力不足な点が否めなかった。
コンセプトは強いものの、デッキの始動は《野生の雑種犬》が場に出た2ターン目以降。カードパワーも強大とは言えなかった。
《意志の力》等で補強しようにも、かつてレガシーを席巻していた時代に使われていた《適者生存》はすでに禁止。改良にも限界があった。
「より強い共鳴者や、墓地利用戦略の幅を広げる」という観点の下、《ロッテスのトロール》や《復讐蔦》を組み込んだりしたものの、共鳴者頼りや初動の遅さという弱点はどうしても克服できなかった。
次第に、既に成立しているアーキタイプを模倣して「戦えるレガシーデッキ」を作成することを模索し始めた。
Wiki等を参考に様々な情報を集め、紙の上でデッキを試作し続けた。
ただ、どのデッキにも高額カード(《意志の力》、《タルモゴイフ》、《不毛の大地》、各種デュアルランド等々)が入っており、その入手難度から実際にデッキを組むことは困難に思えた。
「あのカードがあれば作れるかもしれないのに…」という無意味な言葉を口にしながら、悶々とした日々を送り続けた。
そんな時期のある平日の夜。友人Bがチャットであるリンクを送ってきた。
「どうよtolda、突っ込んでみないか?」
そんな一言とともに。
リンク先で表示されたのは、《意志の力》や《タルモゴイフ》といった、レガシーパーツの山が映った画像。
某オークションで出品された、カナディアンスレッショルドのデッキ一式であった。
値段は堂々の6桁。格安の中古車を買えるくらいの数字だった。
(それでも、今と比べれば半額以下)
僕は悩んだ。
確かに自分の原点である青緑が含まれていて、デッキコンセプトも自分の好み。
構想の中でも一番ベースとして上ってきたデッキだった。
それでも、6桁のお金をポンッと出すのは、社会人の僕でも厳しかった。
結局1日悩んだが、僕は覚悟を決めて入札することにした。
落札するまでの約1日は、自分の人生の中でも5本の指に入るほど長く感じる時間だった。
暇があればスマホで他人の入札状況を確認し、自分が落札したい、でも他人が落札したら逆に諦めがつく、という複雑な心境で過ごした。
最終的に自分が落札し、ATMで送金する段階になっても、まだ悩んでいる自分がいたことを記憶している。
そして僕は手に入れた。
人生初のレガシーデッキである、カナディアンスレッショルドを。
実際に自分で一人回しをするときでも、緊張で手が震えた。
Wiki等で何回調べても、それぞれのカードの使い方は理解しきれなかった。
それでも僕には、何となく予感があった。
このデッキが、これからの僕のMtG生活を変えるであろうことを。
(続く)
第7話 http://endlesslord.diarynote.jp/201708271543264414/
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